ご相談者の属性・ご相談内容
年代:60代
性別:女性
ご相談内容:被相続人であるお母様が亡くなり、遺産分割が必要になったというご相談でした。法定相続人は、お母様の配偶者(お父様)、ご相談者、妹、そして既に亡くなっている別のご兄弟の代襲相続人である甥・姪5名の、合計8名という多数にのぼる複雑な相続関係でした。 遺産としては、預貯金と地方都市の不動産がありました。ご相談者は、お父様や5名の甥・姪との間ではお話し合いを進め、遺産をご相談者が取得する方向でまとまっていました。しかし、長年疎遠であった妹に対しては、遺産分割協議のために複数回お手紙を送付しても一切返答がありませんでした。妹のご自宅を訪問した際も、居住している様子があるにもかかわらず対応してもらえず、完全に音信不通で協議が進まない状態でした。そこで、この膠着状態を打破して遺産分割を完了させたいというご希望で、当事務所へご相談にいらっしゃいました。
※プライバシー保護のため、一部実際の事例とは変更を加えている箇所がございます。
弁護士の対応・結果
当事務所の弁護士がご依頼を受けた後、まずは話し合いがまとまっているお父様と甥・姪5名全員について、ご依頼者へ相続分を譲渡する旨の「相続分譲渡証書」を正式に作成し、実印でのご押印と印鑑登録証明書の提出を受けました。これにより、法律上の遺産分割協議の当事者を、ご依頼者と妹の「2名のみ」に絞り込むという事前の法的な整理を行いました。その上で、全く連絡が取れない妹とこれ以上交渉を続けても本件を解決することは困難と判断し、速やかに家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立てました。調停手続きにおいては、裁判所から呼出状が届くため、これまで他の相続人の連絡を無視していた相手方でも、事態の重大性を認識して調停に出頭するケースが多々あります。
第1回の調停期日には、当方(ご依頼者と弁護士)は裁判所の許可を得て、弁護士事務所から電話会議システムを利用して出席しました。一方、これまで音信不通であった妹が裁判所に直接出頭しました。調停委員を介して妹のご意向を確認したところ、妹は遺産に関心がなくこれ以上手続きに関わりたくないとの明確な意思を示されました。当方としては、場合によっては代償金を支払って解決する準備もしていましたが、結果として金銭の支払いは不要となりました。事前に他の相続人全員からの「相続分譲渡」を完了させて当事者を2人に絞り込んでいたという万全の準備が功を奏し、第1回目の調停期日にして、ご依頼者がすべての遺産を単独で取得するという内容で即日調停が成立しました。
まとめ
ご兄弟が亡くなっておりそのお子様(甥・姪)が代襲相続人になるケースなどでは、相続人が多数にのぼり、面識のない親族が当事者となって遺産分割協議が極めて困難になることがよくあります。このような場合、まずは話が通じる相続人から「相続分譲渡」を受けることで当事者を減らし、遺産分割協議をシンプルにするというアプローチが非常に有効です。 また、手紙や訪問を無視して音信不通を貫く相続人がいる場合、当事者同士の交渉では解決できません。弁護士に依頼して速やかに「遺産分割調停」を申し立てることで、家庭裁判所からの公的な呼び出しがプレッシャーとなり、本件のように調停期日に出頭し、あっさりと「遺産はいらない」と解決に協力してくれるケースもございます。もし、本件をご自身だけで進めようとしていたら、連絡の取れない妹の対応で何年も相続が放置されてしまうリスクがありました。当事務所では、複雑に絡み合った相続関係を法的な専門知識で適切に整理し、必要に応じて他士業の専門家とも連携しながら、調停や審判を見据えた効果的でスピーディーな解決戦略をご提案いたします。音信不通の親族がいる、あるいは相続人が多すぎて手続きが進まないとお悩みの方は、状況がさらに複雑化する前に、ぜひお早めに当事務所へご相談ください。
執筆者
家村 邦雄(いえむら くにお)/石神井法律事務所 弁護士(東京弁護士会)・宅地建物取引士
東京都練馬区・石神井公園駅徒歩3分の事務所で相続を中心に取り扱う。弁護士と宅地建物取引士の両資格を持ち、不動産が絡む相続の「評価・分割・名義変更・売却」をワンストップでサポートできるのが強み。難しい手続きを分かりやすく説明し、依頼者が納得して進められることを大切にしている。