相続コラム
2026/10/19 2026/10/18

練馬区の相続手続き先一覧表|東京家庭裁判所・法務局等の管轄を弁護士が解説

ご家族が亡くなったあと、相続の手続きは一つの窓口では終わりません。裁判所、法務局、税務署、区役所、年金事務所と、手続きごとに行き先が分かれます。しかも「どこに行くか」は住所で自動的に決まるわけではなく、手続きの種類ごとに別のルールで決まります。

先に結論をお伝えします。練馬区にお住まいだった方の相続では、手続き先は次の3つのルールで決まります。

  • 相続放棄や遺言書の検認は「亡くなった方の最後の住所地」が基準です。練馬区は東京家庭裁判所の本庁(千代田区霞が関)の管轄です。立川支部ではありません。なお、遺産分割調停は相手方の住所地が基準になります。
  • 相続登記は「不動産の所在地」が基準です。練馬区内の土地・建物であれば、東京法務局練馬出張所に申請します。亡くなった方がどこに住んでいたかは関係ありません。
  • 税金の申告は「亡くなった方の最後の住所地」が基準です。ただし練馬区は練馬東税務署と練馬西税務署の2つに分かれているため、町名で確認する必要があります。

本記事では、練馬区で相続が起きた場合の手続き先を一覧表にまとめ、それぞれの窓口の住所・電話番号・管轄と、手続きごとの期限を解説します。

【2027年3月31日までにご対応ください】
2024年3月31日以前に発生した相続で、不動産の名義がまだ亡くなった方のままになっている場合、原則として2027年3月31日までに相続登記を申請する義務があります(相続で取得したことを知ったのが2024年4月以降の場合は、その日から3年以内)。正当な理由なく申請しなかった場合は、10万円以下の過料の対象です。遺産分割がまとまっていない場合は、「相続人申告登記」という簡易な手続きで義務を果たすこともできます。期限まで半年を切っています(2026年10月時点)。心当たりのある方は、本記事の「相続登記はどこに申請する?」の節をご確認ください。

練馬区で相続が起きたら、どこに行けばよい?

結論:下の一覧表のとおりです。おおむね期限の早い順に並べています。まずは死亡届(7日以内)と年金(10日または14日以内)、次に相続放棄(3か月以内)、準確定申告(4か月以内)、相続税の申告(10か月以内)という順番で考えると整理しやすくなります。

手続き 練馬区の場合の窓口 管轄の決まり方 期限(起算点)
死亡届の提出 練馬区役所本庁舎2階の戸籍第一係、または石神井庁舎2階の戸籍第二係(区民事務所では受け付けていません) 死亡地・本籍地・届出人の所在地のいずれか 死亡の事実を知った日から7日以内
世帯主変更届 区内6か所の区民事務所 住所地 死亡日から14日以内(3人以上の世帯の場合)
年金の受給停止・未支給年金の請求 練馬年金事務所 住所地(全国の年金事務所で受付可) 厚生年金は死亡日から10日以内、国民年金は14日以内(※マイナンバーが収録されており、区役所への死亡届を死亡日から7日以内に提出している場合、年金の死亡届は原則不要)
相続放棄の申述 東京家庭裁判所(本庁) 亡くなった方の最後の住所地 自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内
遺言書の検認 東京家庭裁判所(本庁) 亡くなった方の最後の住所地 相続の開始を知った後(発見した後)、遅滞なく
準確定申告 練馬東税務署または練馬西税務署 亡くなった方の最後の住所地 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内
相続税の申告・納付 練馬東税務署または練馬西税務署 亡くなった方の最後の住所地 相続の開始を知った日の翌日から10か月以内
遺産分割調停の申立て 相手方の住所地の家庭裁判所 相手方の住所地、または当事者が合意した家庭裁判所 法律上の申立期限はない(ただし10年ルールに注意)
相続登記(不動産の名義変更) 東京法務局練馬出張所 不動産の所在地 所有権を取得したことを知った日から3年以内
所有不動産記録証明書の請求 全国の法務局(東京法務局練馬出張所でも可) 管轄はない 期限はない
固定資産評価証明書の取得 23区内のいずれの都税事務所でも可 対象の不動産が23区内にあること 期限はない
名寄帳(土地・家屋名寄帳)の取得 練馬都税事務所 不動産の所在地 期限はない
自筆証書遺言書の保管申請 東京法務局の本局・板橋出張所・八王子支局・府中支局・西多摩支局のいずれか 遺言者の住所地・本籍地・所有不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所(都内5庁はいずれも東京都全域を管轄) 期限はない(生前の手続き)
公正証書遺言の作成 練馬公証役場など 管轄はなく、全国どこの公証役場でもよい 期限はない(生前の手続き)

※相続放棄の3か月、準確定申告の4か月、相続税の10か月については、起算点の考え方や例外があります。期限の全体像は別の記事で詳しく解説しています。

あわせて読みたい:相続の期限はいつまで?登記義務化・10年ルール等の一覧と罰則を弁護士が解説

ここから先は、期限の近い順に見ていきます。最初に動くことになるのは、裁判所でも法務局でもなく区役所です。

練馬区役所と練馬年金事務所では、何をする?

結論:区役所では死亡届の提出と世帯主変更届を行います。ただし窓口が分かれており、死亡届は区民事務所では受け付けていません。国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険の資格は死亡日の翌日に自動的に失われるため、資格喪失の手続きそのものは不要です。ただし、国民健康保険・後期高齢者医療の加入者が亡くなった場合の葬祭費は、申請が必要です。

死亡届を出せる窓口は限られています

練馬区の区民事務所では、死亡届などの戸籍の届出を受け付けていません。早宮・光が丘・大泉・関の各区民事務所には届出用紙が置かれていますが、用紙の備え付けのみで、提出先にはなりません。死亡届を提出できる窓口は次のとおりです。

窓口 場所 受付時間
戸籍第一係 練馬区役所本庁舎2階 平日 午前8時30分から午後5時まで
戸籍第二係 石神井庁舎2階 平日 午前8時30分から午後5時まで
休日・夜間窓口 練馬区役所西庁舎1階 上記以外の時間、土曜・日曜・祝日、12月29日から1月3日(届出書を預かる取扱い)

死亡届は、死亡地・亡くなった方の本籍地・届出人の所在地(住所地など)のいずれかの自治体に提出します。練馬区にお住まいだった方でも、病院が区外であれば、その自治体に提出することもできます。

区民事務所で行う手続き

世帯主が亡くなり、残った世帯員が2人以上いる場合(つまり3人以上の世帯だった場合)は、世帯主変更届が必要です。期限は死亡日から14日以内で、窓口は区内6か所の区民事務所です。郵送やインターネットでの申請はできません。

区民事務所 所在地 電話番号
練馬区民事務所 練馬区豊玉北6-12-1 練馬区役所本庁舎1階 03-5984-4528
早宮区民事務所 練馬区早宮1-44-19 03-3994-6705
光が丘区民事務所 練馬区光が丘2-9-6 光が丘区民センター内 03-5997-7711
石神井区民事務所 練馬区石神井町3-30-26 石神井庁舎内 03-3995-1103
大泉区民事務所 練馬区東大泉1-28-1 リズモ大泉学園4階 03-3922-1171
関区民事務所 練馬区関町北1-7-2 関区民センター内 03-3928-3046

区民事務所の受付時間は平日の午前8時30分から午後7時までで、区役所本庁舎の窓口より2時間長く開いています。また、練馬区民事務所(区役所本庁舎1階)では、世帯主変更届を土曜日の午前9時から午後5時までも受け付けています。

手続きが不要なもの

制度 資格喪失の手続き 問い合わせ先
国民健康保険 不要(死亡日の翌日に資格を失い、死亡届に基づいて脱退となります)。資格確認書は、区役所・区民事務所などの窓口で返却します 国保年金課 こくほ資格係 03-5984-4554、こくほ石神井係 03-3995-1114
後期高齢者医療制度 不要(同上)。資格確認書は、医療機関での手続きが済んでから、郵送または窓口で返却します 国保年金課 後期高齢者資格係 03-5984-4587
介護保険 不要(同上)。被保険者証・負担割合証は、手続きがすべて終わってから返却すれば足ります 介護保険課 資格保険料係 03-5984-4592(区役所東庁舎4階。区民事務所・地域包括支援センターでの返却や郵送も可)

一方、亡くなった方が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合は、葬儀を行った方(喪主)が葬祭費7万円を申請できます。申請期限は葬儀を行った日の翌日から2年で、喪主の氏名がわかる葬儀の領収書または会葬礼状が必要です(国民健康保険は国保年金課 こくほ給付係 03-5984-4553、後期高齢者医療は国保年金課 後期高齢者資格係 03-5984-4587)。

【ご注意:3営業日前までの予約が必要です】練馬区には、死亡後の手続きをまとめて相談できる「おくやみコーナー」が区役所本庁舎2階の区民部戸籍住民課に設置されています。何から手を付けるべきかわからない段階でも相談できますが、利用の3営業日前までに電話での予約が必要です(03-5984-1198)。思い立った日に立ち寄っても相談枠は取れませんので、日程に余裕を持ってご予約ください。なお、予約が取れない場合でも、手続きの種類や担当窓口の案内は受けられます。

練馬区役所/〒176-8501 東京都練馬区豊玉北6丁目12番1号/代表電話 03-3993-1111/開庁時間は平日午前8時30分から午後5時まで(祝日・休日および12月29日から1月3日を除く)

練馬年金事務所での手続き

年金を受け取っていた方が亡くなった場合、受給を止める手続きと、まだ受け取っていない年金(未支給年金)を請求する手続きがあります。未支給年金は、亡くなった方と生計を同じにしていた配偶者・子・父母などが、自分の名義で請求します。

提出期限は、厚生年金が死亡日から10日以内、国民年金が14日以内です。ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は、受給権者死亡届の提出は原則として不要とされています(区役所への死亡届を死亡日から7日以内に提出していることが前提です)。未支給年金の請求は、死亡届が不要な場合でも別途必要です。また、死亡届が遅れて、本来受け取れない月の分の年金が振り込まれた場合は、後日返還が必要になります。

練馬年金事務所/〒177-8510 東京都練馬区石神井町4丁目27番37号/電話 03-3904-5491/受付は平日午前8時30分から午後5時15分まで(週の初めの開所日は午後7時まで、第2土曜日は午前9時30分から午後4時まで)

出典:練馬区「戸籍の届出について」

出典:練馬区「おくやみに関する手続き」

出典:日本年金機構「練馬年金事務所」

裁判所の手続きはどこで行う?

結論:練馬区は東京家庭裁判所の本庁(千代田区霞が関)の管轄です。多摩地域を管轄する立川支部ではありません。

家庭裁判所の管轄は「下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律」で定められています。東京都の場合、23区(特別区の存する区域)は東京家庭裁判所の本庁が管轄し、八王子市・立川市・武蔵野市などの多摩地域は立川支部が管轄します。練馬区は23区ですので、本庁です。

項目 内容 補足
名称 東京家庭裁判所(本庁) 東京簡易裁判所と同じ建物です
所在地 〒100-8956 東京都千代田区霞が関1-1-2 日比谷公園に面しています
受付時間 平日の午前8時30分から正午まで、および午後1時から午後5時まで 土曜・日曜・祝日、12月29日から1月3日は休みです
夜間受付 月曜・水曜・金曜の午後5時から午後7時まで 家事手続案内と事件の申立ての受付が対象。祝日および12月29日から1月3日を除く
相続放棄・遺言書の検認 家事訟廷事件係(1階)電話 03-3502-8331 家事手続案内も同じ窓口で受け付けています(電話による手続案内は行っていません)
遺産分割調停・審判 家事第5部(12階)電話 03-3502-5378 申立ては担当部で直接受け付けています

日中に来庁することが難しい方のために夜間受付が設けられている点は、知っておくと役に立ちます。とくに相続放棄は3か月という期限があるため、平日の日中に時間を取れないまま期限が迫る、という事態を避けられます。

相続放棄と遺産分割調停で、管轄の決まり方が違う点に注意

同じ家庭裁判所の手続きでも、管轄の決まり方は異なります。

  • 相続放棄の申述・遺言書の検認は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。練馬区にお住まいだった方であれば、相続人がどこに住んでいても東京家庭裁判所本庁です。
  • 遺産分割調停は、相手方(他の相続人)の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者全員が合意で定めた家庭裁判所に申し立てます。相続人が全員練馬区や23区内にお住まいであれば東京家庭裁判所本庁になりますが、相手方が地方にお住まいの場合は、その方の住所地の家庭裁判所になります。

相手方が複数いて住所地が分かれている場合は、そのうちいずれかの住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることができます。

出典:裁判所「管轄区域表(東京都)」

出典:東京家庭裁判所「家事手続案内」

出典:東京家庭裁判所「窓口案内」

あわせて読みたい:東京家庭裁判所での遺産分割調停の進め方(練馬区の管轄は本庁)、相続放棄の申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所(東京家裁等の調べ方)、遺言書の検認手続きの手順(自筆証書遺言が見つかった場合)

相続登記はどこに申請する?

結論:練馬区内の不動産であれば、東京法務局練馬出張所です。基準は「不動産の所在地」であり、亡くなった方の住所地ではありません。

相続登記は、その不動産を管轄する登記所に申請します。練馬区内の土地・建物の不動産登記は、東京法務局練馬出張所が管轄しています。亡くなった方が練馬区外にお住まいでも、不動産が練馬区内にあれば練馬出張所に申請します。逆に、練馬区にお住まいだった方が区外に不動産をお持ちの場合は、その不動産の所在地の登記所に別途申請することになります。

項目 内容 補足
名称 東京法務局 練馬出張所
所在地 〒179-8501 東京都練馬区春日町5丁目35番33号
電話番号 03-5971-3681(代表・自動音声案内) 証明書発行窓口の専用電話は03-3970-2662
管轄区域(不動産登記) 練馬区 商業・法人登記も同じ管轄
取り扱う事務 不動産登記、商業・法人登記、法定相続情報(法定相続情報一覧図の保管と写しの交付)など
取り扱わない事務 遺言書保管、供託、成年後見登記、国籍、人権など 遺言書保管については後述します

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。相続(遺言を含む)によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記の申請をしなければならず、正当な理由なく申請しなかった場合は10万円以下の過料の対象となります。2024年3月31日以前に発生した相続については、原則として2027年3月31日まで(相続で取得したことを知ったのが2024年4月以降の場合は、その日から3年以内)に申請する必要があります。遺産分割がまとまらない場合は、「相続人申告登記」を行えば、申出をした相続人は申請義務を果たしたことになります。

あわせて、2026年4月1日からは住所等の変更登記も義務化されています。不動産の所有者の住所や氏名に変更があった場合、変更の日から2年以内に登記をする義務があります。正当な理由なく申請しなかった場合は、5万円以下の過料の対象です。2026年3月31日以前に生じていた住所変更等については、2028年3月31日までが期限です。なお、何代も前の住所のまま登記されている不動産を相続した場合でも、相続登記の前に、亡くなった方名義の住所の変更登記を別に行うのではなく、相続登記の申請の際に、登記上の住所から最後の住所までのつながりを示す書類(住民票の除票や戸籍の附票など)を添付して対応するのが一般的です。古い住所の証明書が取得できない場合は、登記済証(権利証)や上申書などで対応できることもありますが、具体的な取扱いは登記所への確認が必要です。また、相続登記をした後にご自身が転居した場合は、住所等変更登記の義務の対象になります。

なお、相続登記を促すための登録免許税の免税措置があります。相続により土地を取得した方がその登記をしないまま亡くなった場合の登記や、評価額が100万円以下の土地の登記について、登録免許税が免除されるものです。この措置は2027年3月31日までの期限付きです。免税を受けるには、登記の申請書に根拠となる法令の条項を記載する必要があります。

【弁護士×宅建士の視点】実務では、相続登記が何代も放置された結果、相続人が十人程に膨らんでいるケースに出会うこともあります。相続登記をおこなうには全員の協力が必要になるため、着手が遅れるほど手間と費用がかさみます。義務化された3年という期限は、ご自身を守るための期限でもあります。

出典:東京法務局「練馬出張所」

出典:法務省「相続登記の申請義務化について」

あわせて読みたい:東京法務局練馬出張所での相続登記手続き|必要書類と自分で行う際の注意点

亡くなった方の不動産を漏れなく把握するには?

結論:2026年2月2日に始まった「所有不動産記録証明制度」を使うと、全国の不動産を一覧で確認する手がかりになります。区内の不動産だけでよければ、練馬都税事務所で名寄帳を取る方法もあります。

相続登記をするには、まず「どこにどれだけ不動産があるか」を把握しなければなりません。ご自宅はわかっていても、先代から受け継いだ地方の山林や、共有持分だけ持っている私道などは、ご家族も知らないことがあります。把握できていない不動産は登記が漏れ、次の世代でさらに複雑になります。

全国の不動産を調べる:所有不動産記録証明制度

2026年2月2日から始まった新しい制度です。亡くなった方が所有権の登記名義人として記録されている不動産を、全国分まとめて一覧にした証明書を発行してもらえます。

項目 内容 補足
根拠 不動産登記法第119条の2 2026年2月2日施行
請求できる人 所有権の登記名義人、その相続人その他の一般承継人、およびその代理人
請求先 全国の法務局・地方法務局(支局・出張所を含む) 東京法務局練馬出張所でも請求できます。郵送も可
手数料 書面請求は1,600円、オンライン請求で郵送交付は1,500円、オンライン請求で窓口交付は1,470円 検索条件1件・1通あたり
注意点 氏名の前方一致と住所の一致で検索するため、登記記録と条件が異なると抽出されないことがある。同名の別人の不動産が含まれることもある 該当する不動産がなくても手数料は返還されません

この証明書だけで完全に把握できるわけではない点に注意が必要です。所有権の登記がない不動産(表示登記のみのもの)や、コンピュータ化されていない登記簿の不動産は対象外です。登記されている住所が古いままだと検索に引っかからないこともあります。あくまで「見落としを減らすための手がかり」として使うのが適切です。

区内の不動産を調べる:名寄帳と固定資産評価証明書

練馬区内の不動産だけでよければ、都税事務所で取得できる名寄帳(土地・家屋名寄帳)が便利です。東京23区の固定資産税は東京都が課税していますので、窓口は区役所ではなく都税事務所です。

書類 取得できる場所 用途
土地・家屋名寄帳 資産が所在する区の都税事務所のみ(練馬区内の不動産は練馬都税事務所) 同じ区内に持っている不動産を一覧で確認する
固定資産評価証明書 23区内のいずれの都税事務所でも可(他区の資産も申請できます) 相続登記の登録免許税の計算、相続税の申告

郵送での請求もできます。23区内の土地・家屋に関する評価証明書は、各都税事務所ではなく「都税証明郵送受付センター」(〒112-8787 東京都文京区春日1-16-21)が窓口です。

練馬都税事務所/〒176-8511 東京都練馬区豊玉北6丁目13番10号/代表電話 03-3993-2261/受付は平日午前8時30分から午後5時まで

【弁護士×宅建士の視点】実務では、名寄帳を取って初めて「こんな土地があったのか」とわかることがあります。とくに私道の共有持分は、非課税となっていて固定資産税の課税明細書に載らないことがあるため、見落としが起こりやすい代表例です。公図や登記記録もあわせて確認します。

出典:法務省「所有不動産記録証明制度」

出典:東京都主税局「固定資産(土地・家屋)の証明・閲覧の申請方法」

相続税や準確定申告は、どちらの税務署に提出する?

結論:亡くなった方の最後の住所地によって、練馬東税務署か練馬西税務署のどちらかに分かれます。石神井・大泉・関町などの区西部は練馬西税務署、栄町・光が丘・豊玉などの区東部および中央部は練馬東税務署です。

相続税の申告書と準確定申告書は、どちらも亡くなった方の死亡時の住所地を所轄する税務署に提出します。相続人の住所地ではありません。練馬区は人口が多いため税務署が2つに分かれており、同じ練馬区内でも町名によって提出先が変わります。

税務署 所在地・電話番号 管轄区域(町名)
練馬東税務署 〒176-8503 練馬区栄町23番7号/電話 03-6371-2332 旭丘、旭町、春日町、北町、向山、小竹町、栄町、桜台、高野台、高松、田柄、土支田、豊玉上、豊玉北、豊玉中、豊玉南、中村、中村北、中村南、錦、貫井、練馬、羽沢、早宮、光が丘、氷川台、富士見台、平和台、南田中、三原台、谷原
練馬西税務署 〒178-8624 練馬区東大泉7丁目31番35号/電話 03-3867-9711 大泉町、大泉学園町、上石神井、上石神井南町、下石神井、石神井台、石神井町、関町北、関町東、関町南、立野町、西大泉、西大泉町、東大泉、南大泉

※上記は町名のみを記載しています。同じ町名のなかで丁目によって所轄が分かれる町はありませんが、ご心配な場合は国税庁の管轄区域一覧でご確認ください。

相続税の申告が必要かどうかは、まず基礎控除額と比べて判断します。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。不動産が遺産の大半を占める場合、評価の仕方によって申告の必要性そのものが変わることがあります。なお、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使って税額がゼロになる場合でも、これらの特例を受けるには申告が必要です。

出典:東京国税局「東京都練馬区・足立区(管轄区域)」

あわせて読みたい:練馬西税務署・練馬東税務署での相続税申告|不動産評価で税額は変わる

遺言書に関する手続きは、どこで行う?

結論:自筆証書遺言書保管制度を利用する場合、東京都内の遺言書保管所は5か所あり、いずれも東京都全域を管轄しています。練馬区にお住まいの方は、この5か所のどこでも申請できます。ただし東京法務局練馬出張所は遺言書保管を取り扱っていませんので、ご注意ください。

遺言に関する手続きは、遺言の種類と、生前か相続後かによって行き先が変わります。

自筆証書遺言書保管制度を利用する場合

保管の申請ができるのは、遺言者の住所地・本籍地・所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所です。東京都内の遺言書保管所は次の5か所で、いずれも東京都全域を管轄しています。したがって、練馬区にお住まいの方であれば、この5か所のうちご都合のよい庁を選べます。

  • 東京法務局(本局)
  • 東京法務局 板橋出張所
  • 東京法務局 八王子支局
  • 東京法務局 府中支局
  • 東京法務局 西多摩支局

練馬区からであれば、板橋出張所(〒173-0004 東京都板橋区板橋1丁目44番6号、電話 03-3964-5385)または本局(千代田区九段南)が距離の面で選びやすい選択肢です。

相続開始後の手続きについては、管轄の考え方が変わります。

手続き 手続きができる保管所 補足
保管の申請(生前) 遺言者の住所地・本籍地・所有不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所 東京都在住の方は都内5庁のいずれでも可
遺言書の原本の閲覧、保管の撤回(生前) 原本を保管している遺言書保管所のみ 預けた庁に行く必要があります
遺言書保管事実証明書・遺言書情報証明書の交付請求(相続後) 全国のどの遺言書保管所でもよい 管轄はありません

法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要です。一方、自宅などで保管されていた自筆証書遺言が見つかった場合は、開封せずに家庭裁判所の検認を受ける必要があります。検認の申立先は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所ですので、練馬区の場合は東京家庭裁判所本庁です。

公正証書遺言を作成する場合

公正証書遺言の作成には管轄がなく、全国どこの公証役場でも作成できます。練馬区内には練馬公証役場(〒176-0012 東京都練馬区豊玉北5-17-12 練馬駅前ビル3階、電話 03-3991-4871)があります。

出典:東京法務局「東京都内の遺言書保管所」

出典:法務省「管轄/遺言書保管所一覧」

出典:東京法務局「公証役場一覧」

窓口に行く前に、何をそろえておけばよい?

結論:多くの手続きで共通して必要になるのは「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)」「相続人全員の戸籍」です。これらを最初にそろえておくと、以降の手続きを進めやすくなります。

戸籍の収集は、相続手続きのなかで最も時間がかかる作業の一つです。亡くなった方が転籍を繰り返している場合などは、複数の自治体に郵送で請求することになり、1か月以上かかることもあります。

戸籍証明書の広域交付には制限があります

2024年3月1日から戸籍証明書の広域交付が始まっており、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍をまとめて請求できるようになりました。練馬区役所の窓口で、他の自治体の戸籍も請求できます。相続の手続きで必要になる除籍や改製原戸籍の証明書は、区役所本庁舎と石神井庁舎の窓口で請求してください(区民事務所では取り扱っていません)。ただし、次の制限があります。

  • 窓口での請求に限られます。郵送や代理人による請求はできません。
  • 請求できるのは本人・配偶者・直系尊属(父母、祖父母など)・直系卑属(子、孫など)に限られます。兄弟姉妹の戸籍は対象外です。
  • コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は対象外です。
  • 窓口で顔写真付きの身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、旅券など)の提示が必要です。

兄弟姉妹が相続人になるケース(お子さんがなく、ご両親も亡くなっている場合)では、広域交付が使えない場面が出てきます。この場合は従来どおり、本籍地の自治体へ個別に請求することになります。

法定相続情報一覧図を作っておくと手続きが楽になります

法定相続情報一覧図の保管及び写しの交付制度(いわゆる法定相続情報証明制度)を使うと、集めた戸籍をもとに相続関係を1枚の図にまとめ、その写しを複数部交付してもらえます。金融機関や登記の手続きで戸籍の束を何度も出し直す手間が省けます。

申出先は、次の4つの地を管轄する登記所のうち、いずれかを選べます。

  • 亡くなった方の本籍地(死亡時の本籍)
  • 亡くなった方の最後の住所地
  • 申出人(手続きを行う相続人)の住所地
  • 亡くなった方名義の不動産の所在地

したがって、亡くなった方が地方にお住まいだった場合でも、手続きをする相続人ご自身が練馬区にお住まいであれば、東京法務局練馬出張所に申し出ることができます。

【弁護士×宅建士の視点】法律相談の場面では、ご相続人が戸籍をそろえる前に金融機関へ行ってしまい、戸籍の不足を指摘され二度三度と足を運んだというお話をうかがうことが少なくありません。先に戸籍一式を取得しておくことで手続きがスムーズに進みます。

出典:法務省「戸籍証明書等の広域交付」

出典:東京法務局「法定相続情報証明制度の管轄区域一覧」

戸籍の収集、法定相続情報一覧図の作成、金融機関の手続きまで、相続手続きを一括してお引き受けすることもできます。相続人の範囲に迷いがある場合や、兄弟姉妹が相続人になるケースでは、集めるべき戸籍の判断そのものが難しくなります。ご自身で進める部分と、お任せいただく部分を分けてご相談いただくことも可能です。まずはお問い合わせフォームよりご連絡ください。

▶ お問い合わせページへ

役所以外に、連絡が必要な先は?

結論:最優先は金融機関です。口座は死亡の事実が伝わった時点で凍結されるため、生活費や公共料金の引き落としが止まります。次いで、電気・ガス・水道などの名義変更と、クレジットカードや定額課金サービスの解約です。

本記事はここまで公的機関の手続きを扱ってきましたが、実際に困りごとが起きやすいのは、むしろ民間の手続きです。

連絡先 必要な手続き 放置した場合に起きること
金融機関(銀行、ゆうちょ銀行、証券会社など) 残高証明書の請求、口座の名義変更・解約 口座が凍結され、原則として相続人全員の手続きが済むまで払い戻せない(一定額までは、遺産分割前でも相続人が単独で払戻しを受けられる制度がある)。長期間放置すると休眠預金として扱われ、払戻しの手続きが煩雑になる
電気・ガス・水道などのライフライン 名義変更または解約 使っていなくても基本料金の請求が続く。口座凍結により引き落としができず、滞納となる
クレジットカード、定額課金サービス 解約 年会費や月額料金の請求が止まらない。引き落としができず、督促を受けることがある

なお、遺産分割の前でも、各相続人は、口座ごとの残高の3分の1に自分の法定相続分を掛けた額(1つの金融機関につき150万円まで)であれば、単独で払戻しを受けられます(民法909条の2)。ただし、相続放棄を検討している場合は、払戻しを受ける前に専門家にご相談ください。

金融機関の手続きには、法定相続情報一覧図の写しが役立ちます。複数の金融機関に同時に手続きを進められるため、戸籍の束を1か所ずつ回していくより早く進められます。

なお、亡くなった方の運転免許証やパスポートについては、期限が切れれば自動的に失効しますが、身分証明書の悪用を防ぐ観点から、警察署や旅券窓口への返納が案内されています。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 練馬区に住んでいた親の相続ですが、相続人は全員地方にいます。手続きはどこで行いますか?

A. 手続きの種類によって分かれます。相続放棄と遺言書の検認は、亡くなった方の最後の住所地が基準ですので、東京家庭裁判所本庁です。相続税と準確定申告も亡くなった方の最後の住所地が基準ですので、練馬東税務署または練馬西税務署です。一方、遺産分割調停は相手方の住所地が基準ですので、地方の家庭裁判所になる可能性があります。相続登記は不動産の所在地が基準です。なお、裁判所・税務署・法務局のいずれも、郵送での申請・提出に対応しています。

Q. 練馬区役所で相続の相談はできますか?

A. 練馬区では区民向けの無料法律相談が実施されています。場所は練馬区区民相談所(区役所東庁舎5階)、石神井庁舎区民相談室(石神井庁舎2階)、男女共同参画センターえーるの相談室で、相談時間はお一人30分以内です。対象は練馬区内にお住まいの方で、事前予約制です。相談日の1週間前の午前9時から先着順で受け付けています。水曜日にはオンラインでの相談枠もあります。おくやみコーナーでは、死亡後の手続き全般について案内を受けられます。

ただし、相談時間が30分以内のため、区役所では十分に相談しきれなかったとお感じになられた方が当事務所にご相談にこられることもあります。

Q. 相続登記を自分で行うことはできますか?

A. できます。相続人が少なく、遺言もなく、不動産も1件だけ、というような場合は、ご自身で申請されている方もいらっしゃいます。一方、相続人が多い場合、遺産分割協議が必要な場合、何代も登記が放置されている場合、不動産が複数の自治体にまたがる場合は、必要書類の判断が難しくなります。ご自身で申請される場合は、法務局の手続案内(予約制)を利用することもできます(練馬出張所の場合は登記電話案内室 03-5318-0261)。

Q. 手続きの期限に間に合いそうにありません。どうすればよいですか?

A. 期限の種類によって、延長できるものとできないものがあります。相続放棄の3か月については、期間内に家庭裁判所へ申し立てることで伸長が認められる場合があります。相続税の10か月については、遺産分割が終わっていなくても、いったん法定相続分で申告・納税をしておき、分割が決まった後に修正する方法があります。このとき「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておけば、分割がまとまった後に、小規模宅地等の特例などを使って税額を見直せる場合があります。また、相続登記の3年については、遺産分割がまとまらない場合でも、相続人申告登記で申請義務を果たすことができます。いずれも期限を過ぎてからでは選べる手段が限られますので、期限内の手続きが難しいと思われる場合にはお早めにご相談ください。

Q. 東京家庭裁判所は立川支部ではないのですか?

A. 練馬区は東京家庭裁判所の本庁(千代田区霞が関)の管轄です。立川支部は八王子市・立川市・武蔵野市・西東京市など多摩地域を管轄しており、23区は対象外です。練馬区は多摩地域に隣接しているため混同されやすい点ですが、23区である練馬区は本庁の管轄です。

Q. 死亡届は近くの区民事務所に出せますか?

A. 出せません。練馬区の区民事務所では戸籍の届出を取り扱っていないためです。死亡届の提出先は、練馬区役所本庁舎2階の戸籍第一係、または石神井庁舎2階の戸籍第二係です。平日の時間外や土曜・日曜・祝日は、練馬区役所西庁舎1階の休日・夜間窓口で届出書を預かってもらえます。一方、世帯主変更届は区民事務所が窓口ですので、この2つは行き先が異なります。

Q. 相談は無料ですか?

A. 当事務所では無料相談は行っておりません。初回から60分ごとに税込11,000円でお受けし、費用は計算方法を含めて面談時に明確にお伝えします。

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手続き先がわかっても、「どの順番で進めるか」「自分でやるか任せるか」の判断は別の問題です。相続人が多い場合、不動産が遺産の大半を占める場合、相続人の間で意見が分かれている場合は、早い段階で道筋を決めておくほど選べる手段が増えます。

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この記事の監修者

家村 邦雄(いえむら くにお)/石神井法律事務所 弁護士(東京弁護士会)・宅地建物取引士

東京都練馬区・石神井公園駅徒歩3分の事務所で相続を中心に取り扱う。弁護士と宅地建物取引士の両資格を持ち、不動産が絡む相続の「評価・分割・名義変更・売却の段取り」まで、法律面から一貫してサポートできるのが強み。難しい手続きをわかりやすく説明し、依頼者が納得して進められることを大切にしている。

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